
文藝春秋という超大手出版社から刊行される、
ロベルトからの手紙 の表紙カバーの木彫を拵えました。
内田洋子さんという講談社エッセイ賞と日本エッセイスト・クラブ賞をダブル受賞した、”どメジャー”な方の最新作です。
天下の文藝春秋+史上初ダブル受賞作家の先生+在野の在宅インディーズ貧乏彫刻家 という異色のコラボレーション。
全国の書店で8月9日発売です。
内田洋子さんは、イタリアのミラノ在住です。
皆さんも、イタリアのミラノといったら、
『サイゼリヤのミラノ風ドリア』 くらいしか思い浮かばない方ばかりだと思います。
最初、内田洋子さんにお声をかけて頂いた時、
私の日常と、『ミラノ在住』というフレーズが余りにかけ離れていてボンヤリしてしまいました。
ちょっと興奮気味に家に帰って、妻にこう言いました。
「ミラノ在住の有名な作家さんに表紙をやってくれと言われたぞ。
お前なんかミラノと言ったらサイゼリヤのミラノ風ドリアくらいしか知らないだろ。
この田舎者め。まぁあとは知っててカプリチョーザどまりでしょうな。あははは。」
「それは全部おどれの発想だろ。自分の人生だけでモノを言うな。」
と言われました。
よくよく考えると確かにそうです。取り乱してしまいました。
このブログに来て、読んでくださっている方々にも、
「サイゼリヤのミラノ風ドリア位しか知らない」
というレッテル貼りを冒頭にしてしまいました。
申し訳ございませんでした。

裏表紙にも小さく後ろ姿が。

ちゃんと名前も載ってます。

帯を外すとこんな感じ。 余白も完全に計算しているのがよくわかります。
隅々まで神経が行き届いた美しい装丁だと思います。



内田洋子さんが、表紙作品を私に依頼した時の手紙が、あとがきにかえて掲載されています。
その手紙と内田洋子さんの他の著作、
そして、ロベルトからの手紙の「ゲラ刷り」を読んでから彫りました。

読んで落涙しました。
悲しくなるのではなくて、なんか涙が出ました。
うまく言えませんが、夕陽を見て悲しくないのにホロッとくる感じというか。
上質のエッセイです。 是非読んでみてください。
内田洋子さんからの「お題」は、羽の生えた足でした。

これは、1歳半の娘の足がモデルです。
赤ちゃんの足のようで、大人のようで、子供のようで、男の足のようで、女のようで。
と、いうような感じに私はしたかったのです。
羽も足もリアルにしすぎず、ちょっとトンマで、ほんのりたどたどしく。
全体に可愛いような雰囲気をまとわせたかったのです。
樟の一木です。
高さは20㎝弱。
羽だけに透明水彩の白で着色しています。

■天下の文藝春秋刊行
■講談社エッセイ賞と日本エッセイスト・クラブ賞ダブル受賞作家
■内容が非常に良い
と、いう要素がこの本にはあります。
これは、
売れなかった場合、
確実に私のせいになります。
私を推した『内田先生の御乱心』ということで片づけられてしまうでしょう。
田島なにがしは駄目という回覧板が業界でまわります。
表紙の依頼は金輪際こないでしょう。
そして、急遽、帯がもの凄く太くなると思います。
これ帯?カバー?くらいの、もの凄い太い帯になるのです。
皆さんは書店で、もの凄い太い帯に変更になったこの本を見ることになります。
皆さんが買わなかったからです。
ミラノと言ったらサイゼリヤのミラノ風ドリア位しか知らない皆さんのせいです。
別に責めはしませんが、この事だけはずっと胸に刻みこんでください。
そして、近くの川で顔を上げずスーっと海の方へ流れていく水練の達人を見たら、
それは私ですので
その時はよろしくお願いいたします。

今日も来てくれてありがとうございました。
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- 2016/08/01(月) 11:23:43|
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