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シド工日記 (しどこうにっき)

仏師の流れをくむ彫刻一家にたまたま生まれ、私自身は5代目の彫刻家です。田島享央己(たじま たかおき)と申します。美術界の「フチ」にかろうじて手をかけている者ですので、どうかご存知のない方はこれを機会に覚えていただけると嬉しいです。

木彫マリオネット制作工程(その二)

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木彫のマリオネット。

前回、この辺りまで進んでいました。


また、だいぶ進んだので、その続きを書いていきます。
























その前に、ちょっとお知らせです。





















『Facebookページ』なるものを、作ってみました。

僕の昔の作品やら、ブログの更新お知らせ、近況などをちょくちょくアップしていますので

よろしければご覧ください。

すでに、『Facebook』を活用している方がいらっしゃいましたら、是非僕のページに遊びに来てください。

そして、まだの方は、是非『Facebook』に登録してみてください。



彫刻家 田島享央己facebookページ







それから、



動物をモチーフにして作った僕の木彫作品が、

東京の阿佐ヶ谷にある『OPPO』というギャラリーに常設展示されています。

販売(激安です!)もされているので、お近くにお越しの際はちょっとのぞきに行って頂ければ幸いです。



art gallery oppo





出品作品は上記の『彫刻家 田島享央己Facebookページ』に写真がアップされています。




以上、よろしくお願いいたします。



















と、言うようなワケで。




木彫マリオネットの制作工程です。










ざっくりとした、荒彫りから、徐々に

細かい仕事に入っていきます。


顔と身体のバランスを崩さない様に、同時に彫っていきます。

雰囲気を見るために、目を描いて、頬を少し赤くして、唇も赤くしています。























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こんなに道具をつかうのか!?とお思いでしょうが、

僕は使うんです。


少しでもキレイに取りたいので

刃形の違うものが、たくさん必要なのです。





男の方の身体、腕、顔も進めてこんな感じになりました。

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ちょっと鼻のフォルムが気にくわないので、もう少し彫っていこうと思います。





足も彫っていって、立たせたところです。

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自立させると俄然、迫力が出てきます。

自分で写真を撮っていて、ゾクゾクしました。


早く手をつけてみたい!と興奮気味です。




その前に、もう少し微調整をします。

太ももと腰の流れが不自然なので、直していきます。

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キチンと座るかどうかのチェック。

太ももと腰の内側を彫りこんで調整します。

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そうして、腕を皮の紐で取りつけて

いよいよ初の自立です。




















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まだまだ、作りこみが足りない途中の状態ですが、

異様な生命感と迫力を感じて、

僕は少し、たじろいでしまいました。






   「勝手に動いてしまったらどうしよう…。」







と、馬鹿な事を思ってしまいまして、

なんか、ちょっと怖かったのです。








こうなると、もう楽しくって興奮状態ですから


僕は急いで、女の子の腕と足を彫り進めます。


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そして、



仮組みして、男のそばに寄り添わせました。






























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アトリエの中に、この二人が居る気配がバッチリ感じられて


僕はまた、ちょっぴり怖くなってしまいました。





「いきなり二人で駆け寄ってきて、話しかけられたら、なんて答えればいいだろう…。」







と、馬鹿な心配をしてしまうほどです。













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いつものように、行き当たりばったりの出たとこ勝負で彫っていったので、

こんな憂いのある、せつない二人になるなんて、思っていませんでした。

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センチメンタルな物語を連想してしまうモノを、二人の間には感じます。

異形の大男と小さな女の子というのも、関係しているのかもしれません。

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フェリーニの映画、『道』を連想したとおっしゃる方もいて、

なるほど、これはザンパノとジェルソミーナだ!と僕も思いました。

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この写真なんか、ちょっとグッと来てしまいます。


ここから、モノガタリ風に撮っていきます


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オチが弱いのは勘弁して下さい。























調子に乗って首をすげ替えてみました。












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一瞬、これだ!と、思いましたが、やはり気持ち悪いので止めました。
















さらに、さらに、彫り進めていきます。








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眼球をもう一度、鼻や耳、唇。もっと良くなるように仕上げていきます。


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首と胴体の関係もキチンと処理していきます。

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もう一度、、全体の様子を確かめてみます。

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男の鼻は最初より、だいぶ小さくしました。


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男の方は、立て膝で自立するようにもしました。

これができるのが、

チェコスタイルマリオネットの特徴なんだそうです。





もう一度、目を描いて、唇に紅をさして、

さらに、さらに、さらに、彫っていきます。

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胴体も彫り進めます。

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男の方もだいぶ仕上がってきました。表情も変わってきたようです。

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身体と頭部の仕事のバランスを見ながら、胴体を彫り進めます。

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楽しみに取っておいた、おちんちんもできて来ました。

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頭と胴体がだいたい出来てきました。

これで、あとは手と足をみっちり仕上げるだけです。




















今回の制作工程はここまで。







































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話はガラッと変わりますが、そうめんの彫刻を作りました。





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そうめんって、よくよく見るとめちゃくちゃ美しい立体物です。


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この帯をよくぞ赤にした!と褒めてやりたい衝動にかられます。

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そうめんだからって、細く線を彫ってしまったら負けです。

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そうめんの持つ、直線的な強さを出さなければ、人様が汗水流しながら働いているときに

そうめんの彫刻を彫っている意味は無いし、ましてや、妻に申し訳が立ちません。






しかし、

『直線的な強さ』を出したところで、いっさい申し訳が立つ訳がないので、

コソコソ隠れて彫ることになります。



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ですが、作ったからには見せたいのが人情。


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棒状のモノを持たせるのは非常に危険なのですが、

夕飯後、お腹いっぱいになったところを見計らって見せてみました。





妻は、驚きもせずにこう言いました。



















    























    「作ると思ってたで…。」










































なんか、ちょっとカッコイイ感じになっちゃってるのが気になりますが、



先日、そうめんを茹でようとしていた時、

僕のそうめんを見る目が、ただの目じゃなかったそうです。




そこで、こいつやるな と、思ったそうです。
















木彫そうめんで、僕を差しながら語ってくれました。














と、言うようなワケで。


そうめんと、いつもの記念撮影です。







まずは、とうふくん。


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オタマジャクシくん。


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ちくわ。

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コショウのビンちゃん。

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そして、

さやいもむしくん。





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この『ちくわ一門』は、

ますますナンダカワカラナイことになってきました。




















さて、

つぎは、仕上げて色塗りの工程を書ければと思っています。

お楽しみに。

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今日も来てくれてありがとうございます。



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  1. 2011/08/21(日) 08:40:02|
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