先日こしらえた、『ハシビロコウくん』の評判の良さに気をよくして調子に乗った僕は、
2作目、3作目を作り始めました。
こういうモノを作る時、普段は、
「頼むからお金になることをやっておくれ。」
と妻に言われながら、コソコソとやるのですが今回は少しだけ堂々とやっています。
なぜなら、『ハシビロコウくん』をお店に搬入した次の日に
めでたく、売れてしまったからです。
7月の半ば位までは、飯田橋の『パペットハウス』さんに展示していただけるようなので、
機会がございましたら、
是非、のぞきに行って見てください。

そんなこんなで、前回の続きからです。
おおざっぱに木を組んで、関節を作ってから、
ちょうど、手頃な大きさの木があったので
耳と鼻をつけてみました。

それから、デッサンをして、余分な木を切ります。
ゾウみたいな顔にしちゃおうかなと思っています。
正面と、側面のデッサンのアウトラインにそって余分な木を落としていきます。

いつもは、こんなに丁寧な段取りは踏まず、いきなり彫っていっちゃうのですが、
なにせ、調子に乗っているものですから普段と違うことをしてみたくなるのです。
鼻をどうするのかで迷っています。正面は人間のそれですが、
上の面は、ゾウみたいな鼻のデッサンがしてあります。

ひとしきり悩んだ後は、いつも結論が出ないまま、
「もう、どうでもいいようにしやがれェ!」
と、彫っちゃいます。
のそのそ考えているより、実際にやってから考える方が上手く行くことが多い気がします。
でも、のそのそ考えている時間をよしちゃって、いきなり取り掛ると失敗することがあるので
難しいところです。
のそのそしているのも大事な時間なのです。
その、のそのそしている時にかぎって妻が来るので、年中のそのそしていると思われてしまい、
すごく悔しいです。

鼻を少し切りだしてみると、
なんだか、ちょっと見えてきたようです。
これで、やっと首が座るようになったので、立たせてみました。

なんだか、怒られて立たされているみたいで可愛いので
女の子の方も、立たせてみました。

なかなかの立ちっぷりです。
小学生の頃の僕を彷彿とさせます。
女の子も彫っていきます。
全体的な荒彫りです。

おおまかにざっくりと取っていきます。

そろそろ、顔の表情を出したいので、
ちょこっと顔を彫って、眼を描いて様子を見ます。

いよいよ訳のわからない人になってきてワクワクします。
女の子の方も魂がのってきた感じがします。

女の子の方はつめて行けば何とかモノになりそうですが、
ゾウに似ている人は、ちょっと耳と鼻のフォルムに、問題があるかなぁという感じがあります。

で、再度立たせてみました。

偉そうです。

女の子は、ちょっと切れています。
ゾウ似の人はボンヤリした間抜け面がキュートです。
おちんちんを彫るともっと良くなると思うので楽しみです。

二体同時に作っていて、このくらい作業が進むと、
どうしても、この二人の関係性が気になってきます。

夫婦なのか、親子なのか、恋人同士なのか…。
ちなみに、
僕が推すのはゾウ似の誘拐犯ですが、どうでしょう。

色々、想像するとモノガタリが広がって来て楽しくなります。

気になっていた、鼻と耳の形を彫ってみました。

大きすぎると思ったので、少し小さくしました。

「ゾウ人間」ではなくて、あくまで「ゾウ似の人」にしたいので、人間の鼻のフォルムです。

アホっぽい顔が、ちょっぴり聡明そうな顔になってきました。

いや、そんことないです。十分、トンマな顔です。

さらに、顔を彫っていきます。
眼球を作り、細かいところも作っていきます。

いきあたりばったりの出たとこ勝負でこしらえてますから、
「あぁ、こんな顔になったかぁ。」と自分でも驚きます。

つづいて、女の子。

そこらへんに居そうな、普通の感じの顔になってきました。
びしっ~っと、つめて行くと面白い顔になりそうです。

このくらいのモノだと、こんだけの数の道具を使います。
やっぱり、どこもキレイに取りたいので色んな形の刃物を使うわけです。

顔はだいたいこんなもんで、一旦、止めておきます。

そして、
身体に合わせて、様子を見ます。

どんどん訳のわからない二人になってきました。
妖しくて、甘美な雰囲気さえ漂ってきて心配になってきます。
身体を彫ったら見せられない位、みだらな二人になってしまうかもしれませんが、
「カワイイカワイイしたら負けやで!これが私の十八番。」
という、妻の名言を思い出し、心配せずに突き進みます。
「十八番」???と、皆さん思ったと思いますが、
これは、よくよく聞いたら「座右の銘」のつもりだったそうです。

これから、手足や身体を彫っていくのですが、
それはまた次回に。
大きさは、これくらいです。

僕のクラシックギターと同じ位の背丈です。
これはもう、マリオネットとしては馬鹿みたいに大きいモノになってしまいました。
めちゃくちゃ大きな人しか操れないかもしれません。

妻が言いました。
「どうすんの。あんた。3メートルの人なんているの?いくつんなったの。あんた。」
僕は、調子に乗って後先考えず、ただ彫刻を大きくしてしまった自分を恥じました。
僕の初心は、本場に負けない位の、素敵な動く彫刻を作ろう!
だったはずです。
「あんたなぁ…。」
「初心忘れるでかならず。」
今日も来てくれてありがとうございました。
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- 2011/06/28(火) 18:23:37|
- マリオネット
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