シド工日記 (しどこうにっき)

仏師の流れをくむ彫刻一家にたまたま生まれ、私自身は5代目の彫刻家です。田島享央己(たじま たかおき)と申します。美術界の「フチ」にかろうじて手をかけている者ですので、どうかご存知のない方はこれを機会に覚えていただけると嬉しいです。

オタマジャクシ

マリオネットを作っています。

 
 先日、糸操り人形を発作的にこしらえてみたら、

めちゃくちゃ面白かったので、キチンとしたものを作ってみたくなってしまい、





とりあえず、ザックリとクスノキで木取りしてみました。




空いた時間に、よちよち楽しみながら、ゆっくり作っていこうという魂胆です。












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「まぁ、こんな感じで、止めよ。」とアトリエのすみに片付けます。



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大きさは、だいたい『あらまきジャケ』と同じ背丈です。





楽しみは取っておきます。



また今度今度。














































と、気づいたら進んでいました。


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もう夢中です。『よちよち制作』は諦めて、一気に片付けてしまう事に。

早く木から出してあげたくてソワソワします。


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早く動かしたくって、たまりません。

自分の彫刻が動くというのは、思いのほか嬉しいモノなんだなぁという発見でした。


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このあたりで、一回、妻に見せました。



そして開口一番、


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「動かしてどうするの?」

















と、言われました。



マリオネッターの根幹を揺さぶる非情な発言に僕は絶句してしまいました。















なにも言い返せず、口をパクパクさせていると、











「きゃはははははは!」




と、笑って去っていきました。























「動かしてどうするの?」という言葉が頭の中で渦をまいています。

深いエコーがかかった声で何回もくりかえされます。





夢中になるためには、かなりの『馬鹿らしさ』が必要です。

つまり、無知であることが大切なのです。


ところが、夢中になっているうちに、だんだん知識が積み重なって、

お利口さんになってしまいます。


そうすると、何も作れなくなってしまいます。









しかし、御幼少の折り、

転んで頭を切って、脳みそがトロトロっと少しこぼれている僕は、



   「動かしてどうするの?」



なんて大して利きません。

















もくもくと、手足を仕事していきます。










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顔も、胴体もつめていきます。

目の玉を描いて、様子を見ながら彫っていきます。



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顔を丹念に仕上げていきます。

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この位で、とりあえず止めます。



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別々に作っていた、頭と胴体を

接着します。





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木工ボンドが少しはみ出る位が丁度良いのです。

つなぎ目がちぐはぐですが、ボンドが乾いたら削ってならします。







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乾燥待ちの間に、小さい彫刻を一つ作ってみます。







近所の池に、大きなオタマジャクシがウジャウジャいて可愛かったので。























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たぶん、ウシガエルのオタマジャクシだったと思いますが、

その滑稽味あふれるフォルムに魅せられて、池のほとりで

しばらく見つめていました。



平日の昼間に水面をじっと見つめる小汚い男は身投げと間違えられるのではないか?



と、気を使いまして、




つとめてヘラヘラニヤニヤしていましたが、

また違った見方をされていたのかも知れません。







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そんなこんなで、

ボンドが乾燥したようです。





合わせ目の形をキレイにととのえます。




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これで、各パーツがだいたい出来ました。


仮組みをして全体のバランスを見てみます。




















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いつも、僕が座っている椅子に腰かけてもらいました。


いきあたりばったりの出たとこ勝負で作った割には、なかなか面白い感じではないでしょうか。



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ここまで来る間、事あるごとに



   


















    「ねぇねぇ。動かしてどうするの?」

   










    「ねぇねぇ。作ってどうするの??」




を、妻が言ってきます。 



















僕が黙っちゃって、口をパクパクさせるのが面白いからだそうです。




    


















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とにもかくにも、


自分の作った彫刻が、自由にポーズを変えられるというのは、


新鮮な感動がありました。





これから、糸を付けたり、コントローラーを作ったりするのですが、

そうすると自由に動かせるわけです。ワクワクします。









着色もバッチリきめて、妻の前で動かして驚かすのです。


ワクワクします。

















口をパクパクさせて驚く姿を見て笑ってやるんだ!

と、思うと制作にも力が入ります。



















これまた、制作中の女性像と同じポーズをとらせてみました。



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一緒に記念撮影です。






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オタマジャクシは一足早く、完成です。













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これは出来た時、

やった!と思いました。


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…なんというか、手ごたえです。



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オタマジャクシのとぼけた味が出せた。



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オタマジャクシのもつ造形美をスパリと出せた。




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くねくねと、動き出しそうな生命感を出せた。





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「大人になったらカエルになるんだよ。」と言いそうな表情に出来た。



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と、言うような『手ごたえ』ではなくて、

















『妻の口をパクパクさせる』と、いう『手ごたえ』です。




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『動かしてどうするの?+ 高笑い』


の攻撃は、


大して利かない、などと虚勢をはっていましたが、



出来上がったオタマジャクシを握りしめ、家へ駈け出します。




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見せたら、拍子抜けするほど受けが良い。












    「かわいい。絶作に決定や!」






と言ってくれました。

なんでもかんでも絶作にしてしまうのには閉口しますが、

褒められたので

『口パクパク』の事など忘れてしまいました。












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以前、作ったちくわの彫刻が呪縛となり、苦しんでいた僕にこうも言ってくれました。








    「あんた…、ちくわ越えやな。」









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嬉しかったので、僕は、



    「トンネルぬけたな。ちくわだけに。」と言いましたが無視されました。


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以前作った、豆腐の彫刻の上で。


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なんだか、凄い組み合わせです。


(左から、ちくわ、とうふ君、オタマジャクシ)
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これから仲間が増えて行けば、相当おかしな集合写真になりそうです。






























マリオネットはこれから色々微調整していきます。


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色塗って完成したら、またお見せしますので、お楽しみに。



かならず、『口をパクパクさせる』クオリティに仕上げます。





















































今日も来てくれてありがとうございます。



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(左から、ちくわ、とうふ君、上、オタマジャクシ)








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  1. 2011/05/22(日) 17:12:51|
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