シド工日記 (しどこうにっき)

仏師の流れをくむ彫刻一家にたまたま生まれ、私自身は5代目の彫刻家です。田島享央己(たじま たかおき)と申します。美術界の「フチ」にかろうじて手をかけている者ですので、どうかご存知のない方はこれを機会に覚えていただけると嬉しいです。

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もう角はいらない






 ちょっくら、差し障りがあるかもしれませんので、


場所は伏せますが、








東京の、三軒なんとか屋にある


有名な刃物の店、「土田刃物店」というところがあります。


















そこの御主人が書いた本です↓

千代本

『刃物の写真集』というジャンルに、『変態書物』ではないのか?

と、感じられる方もいると思いますが、

そんなことはありません。


僕は、物凄く面白い名著だと思います。興味のある方、ぜひご一読ください。











僕は、彫刻家の岩野亮介さんに連れられて、

一度お邪魔したことがある程度なのですが、




そこのお店は、千代鶴是秀という伝説の刃物鍛治にゆかりの深いお店でして、


千代鶴是秀がつけていた帳面も残っているそうです。




ちよ



それは、千代鶴自身が直接注文を受けて、作って渡した刃物を記録していた帳面のことです。




千代鶴没後、女将さんが庭で燃してしまっているところを、

燃すんならくださいと言って現在に残っている貴重な

モノだそうです。







僕が使っている千代鶴のノミは祖父が千代鶴に注文してあつらえたモノです。


ちよのみ




ですから、その帳面に祖父の名前が載っているのではないかと、


三軒なんとか屋にある、そのお店に調べて頂いたところ、








    『大正13年3月13日内丸ノミ』








と、祖父が購入した記録があったそうです。







なんだか、妙に不思議な気持ちで、とても嬉しくなりました。





87年前の祖父の行動が、今リアリティーをもって実感できた気がしました。





千代鶴の刃物は当時でも、とても高価なモノだったそうです。



3月13日に刃物を受け取ってウキウキしながら帰ったんだろうなぁと思うと、

亡くなった祖父と、しっかり会った心持ちになりました。




僕の中の祖父の記憶は、ごく小さい時、病院で管だらけで横たわっていた祖父だけなのです。







「つげ」という木で綺麗に柄をすげてあるそのノミは、


晩年、よいよいで動けなくなっていたのに、父に渡さず隠していたそうです。







  











     「まだまだ死なんぞ…!仕事するのじゃ!!」



と、いった感じでしょうか。

















これは、『職人の執念』みたいなモノかなぁと、僕は感動しましたが、

























実際は少し違うようです。
































というのも、父が若い時、酒が呑みたくて高価な千代鶴を一本くすねて売っぱらってしまったみたいなのです。











      















       「あの時は、怒ったねェー。」






と言っておりました。


















で、現在、酒にかわることなく、

残っているモノを、僕が使っているわけです。































 三世代にわたる壮大な話を、もうひとつ。











そんな父の大昔、小さい時に、チラッとだけ見た



祖父が描いた、ある絵があるそうです。




それは、鬼が鏡をもって、自分のツノを恨めしそうに眺めている絵だったそうです。



   「ツノがあるの嫌だなぁ…。」

   「人間になりたいなぁ…。」




というモノガタリが連想されます。




たぶん、祖父はそれを立体化しようと、アイデアをデッサンしていたのでしょう。


でも、作品にはならなかったようです。












時は流れて、3、4年くらい前でしょうか。



それを、今度は父が記憶を頼りに、木彫にしようとたくさんデッサンをし始めます。







クスノキを製材して、木に「墨つけ」を済まして

さあ彫ろうという段階で止めてしまいました。



































酒を飲む方が忙しくなってしまったからだと僕は推測しています。














そんなこんなで、しばらく放っておいたのですが…。






































突然、その父が入院。医者から聞いた病名をネットで検索したら、難病指定。

これは、いかん!とホコリをかぶっていたその材木を引っ張り出して、急いで彫り始めました。




















     「参っちゃう前に完成させて見せなきゃ。」








と、今から考えると随分早とちりですが、

ガシガシ彫りまくっていました。




















ちょうど、大震災の真っ最中。余震に揺れながら、停電の薄暗い中、仕事しました。



























鬼8



たぶん、100年近い時間がながれて、ようやくの立体化です。



鬼7



一族の悲願を達成してしまいました。


鬼6



この長い時間の流れの中には、千代鶴を売って呑んでしまった事件も入っているのです。


鬼5


父の魔の手から逃れた千代鶴を使って制作したのも、考えて見ると面白い話です。


鬼4


隠してくれていて、ありがとう、おじいちゃん。

鬼3


難病にかかったはずの父は、すかっり回復して退院しました。



鬼2



酒への一念というのは凄いです。千代鶴を売っぱらうこともすれば、病気も治すのです。


鬼1


とにかく、参っちゃう前に完成出来たのには、変わり無いので、めでたしめでたしです。


鬼9













話は変わりまして、














先日のギャラリートークで、すべり倒してしまい悔しくてたまりません。











アメリカの大統領は?

「ウィー・アー・ピープルの人でしょ?」


と答えた妻にまで、バカにされたからです。




(それを言うなら、イエス・ウィー・キャンです。)














ですから、どうしても次回は『受け』を頂きたい。





















東京の日暮里(にっぽり)のことを思いだせなくて、


「日暮なんとか。」


と、言い放った妻を見返すんだっ!


僕はこんなもんじゃないぞっ!










と、言うことで考えました。







































あやつり人形を作って踊らせ、トークしないでお茶を濁すという方法です。↓









































ざまぁみやがれ!

と、妻にこのあやつり人形を見せました。

































































「頼むから、お金になることをやっとくれ。」


と、言われました。






















今日も来てくれてありがとうございました。

  1. 2011/05/09(月) 20:24:59|
  2. 彫刻作品
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