現在、僕はおかげさまで無事ですが、
これからどうなるか、不安と緊張が続きっぱなしで
非常に暗い心持ちです。
日本中の人が同じ気持ちだと思います。
そこで、このブログのリンクでもおなじみ、『銀窯日記』の陶芸家であり彫刻家である鈴木厚さんが、
ご自身も茨城県で被災されているにもかかわらず、ブログを更新されました。
読後、なんだか気持ちが少し軽くなってきたようでした。
「あぁ、僕もなんか書こう…。」
と、思った次第です。
非常に書きにくいですが…。
それから、
わざと、
いつもよりクスグリを多めにちりばめていきますので
勘弁して下さい。
今回の大地震があった時、
僕はアトリエで仕事をしていました。
ちょうど妻も一緒にいました。
塗料や道具、作品などがバッサバッサ落ちてきて
めちゃくちゃ怖かったです。

父の作品は棚の高い位置にあったので、
落下してずいぶん壊れました。

僕の作品はわりかし低い位置だったので、落ちてもいくつか壊れただけでした。
そんな中で、ギリギリセーフの絶妙なバランスで踏ん張っている作品がありました。

揺れてる最中は、紙相撲のようにトコトコ動いていたのでしょう。
地震がおさまった後、この状態を発見して
あまりの健気さに思わずシャッターを切ってしまいました。
落下しても壊れなかった作品もありました。

ミケランジェロが
「山の頂上から転がしても壊れないのが良い彫刻だ。」
と、言っていたと思いますが、
そうなると『ちくわ』は傑作です。ビクともしませんから。
それから、
計画停電なるもので、夜は暗いです。
僕が小さい頃は、停電なんざ
のべつまくなしであったと思います。
いつの間にか停電無しの電気使いまくり生活になってしまっていたようです。
ですから、夜の闇というのは久しぶりでした。

ロウソクの明かりをボンヤリ見ていると、
うちの猫が寄ってきました。
ロウソクの火は初めて見たはずです。
この写真は、匂いを嗅ごうとして熱さにビビっている決定的瞬間なのです。
本も読めないので、ひたすらボンヤリ炎を見ます。
ロウソクの明かりというのは、誠に美しいもので、
「ラ・トゥールの絵みたいだ…。」
と、僕はつぶやきました。
↓これがラ・トゥールの絵

横に居た妻は、そのロマンチックな感じが気に入ったのでしょう。
僕のセリフをパクって、
自分の友人にロウソクで過ごして居る旨をメールで知らせるために携帯を打ち始めました。
メールを打ちながら、妻が質問してきました。
「さっきの画家なんつったけ?…ラタトゥーユだっけ。」
「フランスの煮込み料理じゃないんだから。」
と、僕は静かに言いました。
だけど、この只ならぬ緊張感の中に、時折こういう『笑い』が入るとホッとします。
犬養毅を、クレージーキャッツのメンバーだと思っていたり、
福助を、七福神のメンバーだと思っていたり、
明智小五郎を、忠臣蔵のメンバーだと思っていたりする妻のおかげで、
地震後も、少しだけ明るく過ごせているみたいです。
日本が落ち着いたらラタトゥーユを作ってあげようと思います。
今日も来てくれてありがとうございます。
- 2011/03/16(水) 08:46:47|
- よもやま噺
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