僕は、よく木のおもちゃを作ります。
ポツポツ、依頼していただくのですが、
はじめは、自分自身のために作っていました。
自分自身のためと言っても、
「ブーン、ブーン。キキっー!ドッカーン。」
と、砂場で遊ぶワケではございません。
仕事とは別に、『ちょっと立ち止まる時間を持つため』
とでもいいましょうか…。
そんな感じでした。
「あんた、人生立ち止まっちゃってるじゃないか。この立ち往生野郎。」
このような助言をしてくれる妻の言葉も、
木のおもちゃを作るのと同じくらい大事な事だと思っています。
冷静になって自分と向き合うことができるのです。
今日は、おもちゃを作って『立ち往生』する日です。
いつもと違う気分でアトリエに入ります。

作るのは、手のひらサイズのいもむしくんです。
一本の木から削り出していきます。

僕は、彫刻を作る時
その彫像に、『芯にある何か』を彫れることができたらと
願っています。
気障な言い方で恥ずかしいですが、確かに思っているのです。
それは、ちくわでも、女性像でも、おもちゃでも、同じなのです。
特に、おもちゃは子供が持つモノですから非常に強く思います。
「千年もてー!」なんて思うのです。
大人になってからも持ち続けるようにと。
ついでに、別のおもちゃも同時に作りました。↓

これは、「龍」です。
何気なく、木のかたまりを眺めていたら龍に見えてしまって
木から出してあげることにしました。
『りゅうくん』と名づけました。
目の穴をあけて、口を彫って完成です。
これから色をぬります。

人間は、手のひらにおさまる大きさが一番愛せるのです。
これは心臓の大きさだから。
二番目は、両手にのる大きさ。
これは脳の大きさだから。
三番目は、両腕で輪っかをつくった時の大きさ。
これは心の大きさだから。
と、昔なにかの本で読みました。
妙に納得してしまう、好きな言葉です。

りゅうくんも完成です。

トンマな感じに出来ました。

一緒に記念撮影。

こんな、馬鹿馬鹿しいモノを好きだと言ってくれる人がいます。
多分お世辞だろうと聞いてはいますが、
僕は僕なりに、こんな毎日の送り迎えの仕方で
僕のかけがえの無い人生を、ちくわやおもちゃに費やしてしまって良いものかと
不安に思ったりします。
でも、出来上がった作品を並べて見ると
「おもちゃの仕事もだんだん増えてきたな。僕の仕事も満更でもないな。」
などと、うぬぼれます。
すかさず、
「おかゆじゃないんだから、ただ増えりァいいってもんじゃ無いよ!」
と、妻が罵倒してくれるので
僕は、天狗にならずにすんでいる気がします。
あと、めちゃくちゃ我慢強くなりました。
今日も来てくれてありがとうございました。
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- 2011/02/17(木) 10:46:26|
- 木のおもちゃ/オリジナル工芸品
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